この画像は何年か前に撮影したもので、自動車関連のさまざまなメーカーがお金を出しあって士別市に維持させている「寒冷地技術研究所」での風景で、新製品の認定を取るための試験を厳冬期に行っているところである。
100メートル以上の圧雪路のストレートやつるつるのスケートリンクでフル加速フルブレーキを行い、プラスチックチェーンやスタッドレスタイヤの性能をチェックするのだ。
ところで、雪国の人々にとってはあまりにも当たり前すぎて話題にすらならないせいか、雪国以外の人々には全く知られていない事柄がひとつある。



スタッドレスタイヤにはサイピングと呼ばれる細かな切れ目がある。多くの人はこの切れ目があるから雪に触れる面積が増え、車が止ると思っているようだが、それはとんでもない大間違いだ。





スタッドレスの性能は、「夏の間走り回って、このサイピングのすき間にどれほどの石を詰め込むか」によって決まってしまうのだ。考えてみたまえ。タイヤに切れ目をたくさん入れたら氷の上で止るようになるか?といったらそんなわけないのである。それで止るのなら夏タイヤに自分でカッターで切れ目を入れれば済む話だ。「石をつかんで離さない」それこそがサイピングに求められる使命であり、そのためにあんな複雑な切れ目になっているのである。



新品のスタッドレスタイヤが「雪が降る前にある程度走っておかないと性能を発揮しない」とまさにこの辺を言うのであり、詰め込んだ石は1シーズンでほとんど抜け落ちてしまうので、夏場もメンテナンスと称して少し走ってやらなければならない。



実際、上で紹介した試験の時もタイヤメーカーが用意した新型タイヤには、すでに石が食い込んでいるものばかりで、それもグラインダーに使う研磨材の極粗目のものを、サイピングの奥までぎっちりと詰め込んであり、氷の上でも素晴らしく良く止るものであった。



もちろん、そうした道路を削るような研磨材は禁止されているので、タイヤと同じ黒色のものが使われ、ぱっと見てもわからないし見えたところで半ば公然の事実だから試験官も見ぬふりだ。なにしろゴムだけで止るはずが無いのだから。



氷の上ではこんな会話が交わされていた。
「おんや〜?○○社さんのタイヤはなんだか粉っぽいね〜
「あれれ〜?どうしたのかなぁ?わははははは」
「ははははは」
なごやかなものである。



俺はといえば、今年はまじめにやらなかったので見ての通り、石があまり詰まっていない。「こんなんで止るのか?」と冬を前に暗澹たる気分である。



冬の北海道でレンタカーを借りるのなら予約の時に一言「石がよく詰まったタイヤを」とお願いしよう。たいていの店員は「どうせ本州人は何にもしらねーから」と思っているので、この一言でびっくりして「はっ!かしこまりました。最高のコンディションのものを用意させていただきます!!」とがらりと態度を変える。



それでは、雪が降るシーズンにお会いしましょう♪

慣れるまで運転は慎重に。